れあこん

書評、映画評、音楽評など、各種レビュー記事を掲載しています。

【ネタバレ】親友の物語 - シュガー・ラッシュ:オンライン レビュー

2019年最初の映画は『シュガー・ラッシュ:オンライン』。
今年は沢山の映画に出会えますように、という思いを込め、初詣帰りの元旦の夜に観てきました! www.youtube.com

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2018年 年間映画ランキング【ネタバレ有り】

あけましておめでとうございます!皆さまの映画ライフは2018年如何でしたでしょうか?

私は昨年、余り更新をすることが出来ませんでした。
2019年こそは沢山レビューを書くぞ!という思いで一杯です。
今年も『れあこん』をよろしくお願いします!!

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【ネタバレ】衝撃のエンディングに呆然 - アベンジャーズ インフィニティ・ウォー を観てきました。

はじめに

f:id:tsuyoring:20180506105635p:plain 2015年に上映された前作から3年、アベンジャーズシリーズの最新作・第3弾が遂に登場!
シビル・ウォーで決裂したアベンジャーズへ史上最強の敵が襲いかかるストーリー。 期待に胸を膨らませ、久しぶりにMX4Dで観劇してきました。

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パートナーと言うより、過報酬の弟子だな - グレイテスト・ショーマン レビュー

はじめに

ラ・ラ・ランド』を制作したチームが早くも次回作を公開!昨年の今頃に本作に衝撃を受けた身(下記の記事参照)としては、是が非でも観に行かなくては!ということで、封切り翌日に観劇してきました。
www.rarecomp.com

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

貧しい家に生まれ育ち、幼なじみの名家の令嬢チャリティと結婚したフィニアス。妻子を幸せにするため努力と挑戦を重ねるフィニアスはやがて、さまざまな個性をもちながらも日陰に生きてきた人々を集めた誰も見たことがないショーを作り上げ、大きな成功をつかむ。しかし、そんな彼の進む先には大きな波乱が待ち受けていた。

感想/印象に残ったフレーズ

正直に書いてしまうと、序盤は全く楽しめませんでした。 本作の主人公P.T.バーナムの余りのクズっぷりに、共感する部分が一切無くて。

物語の入りは前作同様、ミュージカルで作品に引き込むという、『いきなり!ステーキ』ならぬ『いきなり!ミュージカル』戦法です。この部分では期待通りの作品に概ね満足でした。そのミュージカルのまま主人公とチャリティが結婚するまで一気に物語が進んでしまい、観客としては若干付いていけない感もしましたが。

さて、入りのミュージカルが終わった後からストーリーが始まります。主人公がサーカスを始めるに向けて様々な試行錯誤を繰り返すのですが、特に序盤の彼のおこないが受け入れ難く。それはそれはワルそのもので。沈没した船の登録証を使って銀行から借金をしたり、見世物小屋的に異形のもの達を集め、お金のために彼らを雇って。見る人が見れば人種差別だ、偏見だ、と騒ぎ立てられそうな内容。多分に漏れず自分もそういった感想を抱き、気分を悪くしました。

風向きが変わったのは1度目のサーカスの後に周囲の住人がその薄気味悪さに排斥運動を始めた辺りでしょうか。 『そうだよね、気持ち悪いよね』『全力でバーナムを追い出せ!』『でも、ここまで叩かれるとバーナムを応援したくもなるかな?』 全てがトントン拍子に進んでいく、本物語の胡散臭さにウンザリしていたことに気付くことが出来ました。そして、そのことに気付いてからはスンナリとフィニアスを応援する気になれました。

その後の物語はショートして受け入れることができ、音楽・エンタメ感を十二分に満喫することが出来ました。劇場で観られる方には、是非ともここまで辛抱して観ていただきたいところです。

さて、その後も物語は進みますが、2つほどハイライトとなるシーンを挙げておきます。

まず、フィリップ・カーライルを口説き落とすシーンです。バーナムのサーカスは下流市民に受け入れられたのですが、バーナムはそれだけでは不満で、上流階級の人々にも受け入れられる策を検討します。その中で、上流階級のカーライルに対して一緒に組まないか?と酒場で口説くのです。酒場の中という狭い空間の中で、とても渋く、かつ格好良いミュージカルが展開されます。音のリズムと演者の動きがピッタリマッチして、何とも素敵な仕上がりになっているので是非観ていただきたいですね。
補足ですが、本記事のタイトル「パートナーと言うより、過報酬の弟子だな」はこのシーンの最後にバーナムがカーライルに向かって放った台詞です。この台詞は物語が新たな局面を迎える鍵になると同時に、本作品のフィナーレで再度、新の友情を育んだ2人の間でも交わされるのです。男と男の友情、パートナーシップ、信頼関係。是非とも本シーンを目に焼き付けてください。

次に、歌姫ジェニー・リンドとのワンシーンです。 バーナムが上流階級の人々を相手にショーをするため、米国各地をジェニーと一緒に旅をします。そんな中で、ジェニーがバーナムと乾杯した後にキスをしようとして、それをバーナムが拒むシーン。ジェニーにとってバーナムはビジネスパートナーではなく、一緒に生きていきたい人生のパートナーと考えていました。だが、バーナムにとってはチャリティという幼い頃から愛し続けている妻がおり、彼を待っている娘も2人居て。あくまでビジネスパートナーとしてジェニーを口説いていたバーナム。2人の感情がすれ違い、それぞれが「全てを掛ける」掛け方が違っていて。男女の生き方の違いなのでしょうか。蜜月だった2人の関係の終わりとなるこのシーンはとりわけ印象的でした。
また、私は上記のような捉え方をしましたが、人によってはバーナムとジェニーは既に恋愛関係にあったという見方もあるかと思います。ですが、私の目にはバーナムはあくまで『サーカスバカ・ショーバカ』として見えていました。仕事に自分の全てを注ぎ込んだ男の生き様と考えると、そこで不倫をするという発想自体がないのでは?と思います。

おわりに

前作が余りに名作だったため、期待が大き過ぎてそのハードルを越えられなかった感がありました。
ミュージカル部分については前作以上に凄いですし、人間模様も群像劇として捉えると悪くは無いです。ただ、前者もサーカスという題材ならではという気もしますし、後者もストーリーとして散漫になってしまっている感も否めません。題材と演技が素晴らしい中、それをストーリーとして上手に消化仕切れていない様な感覚が拭えませんでした。
と言うわけで、世の中の評判よりは若干辛口かと思いますが、84点で。もう少しストーリーを美味く纏められた気がして成りません。

2018/02/17 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎

ラ・ラ・ランド (オリジナル・サウンドトラック)

ラ・ラ・ランド (オリジナル・サウンドトラック)

仕事を辞めることと、死ぬことは、どっちが簡単なわけ? - ちょっと今から仕事やめてくる 映画感想レビュー

はじめに

ブラック企業における違法労働・過労死・自殺が問題となっている昨今。
私自身も新人時代の職場環境が劣悪だったこともあり、どんな物語なのか気になり映画館に足を運びました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた隆は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、ある青年に助けられる。幼なじみのヤマモトと名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。

感想/印象に残ったフレーズ(ネタバレ有り)

物語の出だし、まばゆいばかりの星空の下で子供と大人が『人が生きること』について語らうところから始まります。 美しい音楽と何語か分からない彼らの語らいに、まだ他の映画の宣伝が上映されているのかと思うほど。

暫くすると星空のシーンも終わり、一点、ブラック企業で働く隆の日常が始まります。 そこまでの映像落差が良いコントラストとなっており、会社の劣悪環境が際立っておりました。 厳しいノルマと上司のパワハラに押し潰されそうになり、自殺を図ります。 ですが、そこで颯爽と隆を助けるヤマモト。そこからのヤマモトの良い奴っぷりは必見ですね。 筆者は男でそういった趣味もありませんが、ヤマモトの励まし・笑顔には惚れてしまいそうになりました。

段々と隆の心も回復し、ついに営業で契約が取れそうになるのですが。エース社員の五十嵐の策略によって失敗し、再びドツボにはまっていきます。 ついには再び自殺を試みようとしますが、そこに再びヤマモトが現れ、何のために生きているのか?と問うのです。 そして、それは自分自身、そして、自分を大切に思ってくれる人のためであると。 ヤマモトの言葉に大切なことを思い出した隆は実家に帰り、家族と語り合い、そして会社を辞める決意をします。 部長からたくさんの罵倒を浴びながらも、漸く退職をし、隆はスキップをしながら会社を後にします。

ここまでの流れで、正直大変な名作だと感じました。 主人公である隆とそれを助ける山本、それぞれ演じる工藤阿須加福士蒼汰の表現力も素晴らしく、大変引き込まれます。 映像表現も素敵ですね。星空が綺麗、というだけでなく、ブラック企業の雰囲気を画から伝えてくれます。 BGMも印象的なものが多く、物語の盛り上げに大変貢献していました。全てが一体となって素敵な作品を形作っていました。

さて、ですが、下記の点は頂けませんでした。

まず、隆が会社を辞めるシーンで、隆は五十嵐からの謝罪を受けたこと。 このシーン、全て受け入れ、その上で尚も尊敬していると伝える隆が格好良すぎるのですが、実は五十嵐にも救いを持たせています。 というのも、対する五十嵐が隆をハメた原因が「隆が契約を取ると自分のノルマが上がってしまうから」。 彼女自身も会社の闇の被害者だということなのでしょう。 ですが、個人的にはそこに救いを持たせる必要があったのかなと疑問に感じました。だから何なの?感が凄かったです。

次に、隆が仕事を辞めた後にヤマモトに関する出生を追い、彼とバヌアツで再会するまでのシーン。要はBパート全般でしょうか。
・実はヤマモトは双子で、3年前に死んだ双子の兄の名前を名乗っていたこと。
・霊園に行っていたのは兄のお参りだったこと。
・兄が死んだことで自暴自棄?になっていたが、隆を見て死にそうな顔をしているのを見て、助け、見守っていたこと。
・隆が仕事を辞めてスキップをし、カバンをぶん回しているのを見て、再びちゃんと生きよう思い直したこと。
・隆がヤマモトを追ってバヌアツに向かい、そこで再開したこと。
原作を読んでいないから分からないのですが、これらの部分は元から有ったものなのでしょうか? 正直ヤマモトは幽霊でも良かったのでは?という位、序〜中盤の満足度が高かったですし、 その間にヤマモトの描写もそこまでなかったことから、退社以降に物語が大きく遷移していくのに感情がついていきませんでした。

とは言え、設定が緻密にされていたことは分かりました。 だからこそ、序盤からもう少し臭わせておく・伏線をもう少し鏤めておくなどされていれば……と感じてしまいます。

おわりに

上にも書きましたが、音楽や映像は申し分なく。 それに加え、物語の題材を表現力豊かな2人の俳優が見事に演じきった名作でした。
採点は89点で。
ブラック企業で思い悩んでいる人には勿論、生きることについて悩んでいる人、自分探しをしている若者にも是非観て欲しい快作でした。

2017/05/27 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎

どうか乾杯を 夢追い人に / ラ・ラ・ランド レビュー

はじめに

エマ・ストーンが主演している本作。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』における小悪魔な演技がとても好きで、以来彼女のファンとなってしまいまして。今回は主演女優ということで、彼女の演技を楽しむために映画館に足を運びました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。

感想

まず、出だしのミュージカルで度肝を抜かました。 高速の渋滞で人々が乗る車群を映しているのですが、気付くと女性がクルマから飛び出して踊り出して。 何が始まるのかと思いきや、渋滞に捕まっている人々から人が次々と降りてきて一大ミュージカルとなってしまうのです。

突拍子も無い始まり方ですが、この勢い・音楽・流れが正に本作を良く表しています。

セバスチャンとミーアが運命的な何度かの邂逅を経て、惹かれ、恋仲となっていく、 この辺りの展開をほぼ全て音楽に乗せてたミュージカル調で描いていくのがとても興味深いです。

さて、ストーリーとしては2人の熱々な雰囲気に序盤はずっとヤられっ放しです。 ミーアがセバスチャンの夢であるジャズバーの名前を『CEBE'S』にしよう!って提案したりして。 特に2人が科学館でデートをするシーンでは、2人が宇宙に飛び出してダンスを踊る。 B級映画ここに極まれり、と言った具合で、この辺りは正直盛り上がりに欠けます。

ですが、ここを乗り越えられるかどうかが分かれ目……どうにか堪えてみていただきたいところです。 本作は単なる恋愛物語では無く、主人公の2人の男女がそれぞれの夢を追いかける夢追い物語でもあり、 それがこの後のストーリーをとても味わい深いものにしているのです。

セバスチャンは旧友のキースからの誘いで自分の情熱を殺してお金のために働くようになります。 そのことで仲違いし、別れて……けれど、セバスチャンがミーアを夢である女優へと繋ぐ役目を果たして、 結果的に2人はお互いに納得のいく形で未来へと進むことになります。

そして月日は流れ5年後。
2人の夢追い人が別れて5年後。え、いきなり5年後??と驚くのも束の間、更なる驚きが。 女優になるという夢を果たしたミーアが、家に帰ると、そこには子供と家族と、旦那——セバスチャン以外の男が居るのです。 5年の月日はミーアを新しい人生へと押し流してしまいました。

そんな感傷に浸る間もなく、旦那とミーアがドライブで外食へ行くのですが、 たまたま入ったの名前バーが『CEBE'S』。そう、ミーアがその昔に提案した名前のお店だったのです。 ステージ上にいるセバスチャン、彼が演奏する直前に、ミーアに気づきます。何て残酷な、ボタンの掛け違えなのでしょう。

ですが、彼が演奏を始めた瞬間から、全ての記憶がやり直されます。 2人の最悪な出会いは、口付けからの最高の始まりに。 仲違いした理由であるキースの誘いは華麗にスルーし、大失敗したミーアの1人芝居は大成功して。 5年後も勿論旦那としてセバスチャンがミーアと仲むつまじく過ごして…… 掛け違えたボタンの、すべての答え合わせを見ているような。たら、ればをすべて実現したような。 そんな、たどり着けなかったハッピーエンドを描いていて、何とも目頭が熱くなります。

完璧に幸せな人生を過ごしている人は少なく、どんな人でも「あの時こうしていたら」「こうしていれば」 と言った感情を何処かで持ち合わせているもの。そんな、多くの大人の心の奥にある感情を大きく揺さぶるシーンでした。

さて、全てを見終えたミーアは、すぐさま店を出ます。最後に振り返り、セバスチャンと目をあわせて。 ほんのほんの少しの微笑みを讃え、直後、唐突に『The END』の文字とともに本作は終わります。 タイミングも申し分なく、エンドロールで流れる曲で余韻に浸らせるという、完璧な終わり方でした。

おわりに

今作、色々と難癖を付けたい部分も多々あります。 序盤、ミーアが彼氏がいるのに平気でセバスチャンとデートしたり、セバスチャンはセバスチャンでバーの看板を豪快に壊すなど、自己中なシーンでいらっとしたりもします。そして、前述の通り、B級映画全開な演出もあります。

ただ、全編を通じて、曲にあわせて踊り出す・ミュージカル的な演出はとても挑戦的で悪くないと思いました。 そして、何より。最後の追い込み・畳み掛けは圧巻の一言。筆者はボロ泣きしてしまいました。本作がアカデミー賞の最有力と言われている理由を知らしめられた気がしました。と言うわけで、採点は91点です。

夢を追うという、人間誰しもが持つ思い。そして自分の好きな人と一緒に幸せに過ごしたい、という思い。恐らく永遠のテーマであるこの要素の旨味を上手に料理仕切った名作だと思います。

2017/02/24 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎

自分のおっぱい本当に好きやねぇ - 君の名は レビュー

はじめに

新海誠監督の最新作!そしてまさかのシン・ゴジラ越え! 同監督の作品は今までどちらかというとコアなファンに支えられてきた印象があり、 その絵のタッチや内容の所謂ヲタ臭さから、大衆に受けるような作品とは言い難いと感じていました。 それがここに来てまさかの大ヒット。大変興味を惹かれ、劇場に足を運びました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。

感想/印象に残ったフレーズ

男女の入れ替わりという使い古されたシチュエーションを題材とした本作。 最初はコミカルに、入れ替わりをおっかなビックリ楽しむ様が描かれております。甘酸っぱい青春ものだと思いきや、入れ替わりが起こらなくなったことがきっかけで物語は急展開。彗星の衝突というトンでも展開に加えて、実は時間差での入れ替わりだったと言うことも発覚。途中でヒロインの三葉が死んでしまうという窮地も乗り越え、無事にハッピーエンドを迎え……こう書くと、内容てんこ盛りですね。

序盤の瀧がひたすら自分のおっぱいを触るのも笑ってしまいましたが、中盤以降発覚した時間差での入れ替わりというのをとても新鮮に感じました。正直予想していなかったので。加えて、立花瀧が彗星衝突時の死亡者リストの中から三葉の名前を見つけて閉まったシーンでは涙をせずには居られませんでした。

さて本作。とても大事な箏を思い出させてくれる作品だと感じました。 夢の中で起こったことが現実で起きたりすると、それが実は深い意味があるんじゃないか?とか幼い頃には考えたりしたと思います。凄く楽しかった夢の内容も段々忘れてしまい、次第に思い出せなくなってしまうという経験もしたことがあります。 でも、大人になった今ではそういった記憶もほぼ無くなってしまっていますし、見た夢の内容も別段気にしないようになってしまいました。それが現実を生きていると言うことなのかもしれませんが、それは本当に『いま』を生きていると言えるのでしょうか? 宮水一葉(おばあちゃん)が話した名言『よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがムスビ』という台詞を聞くにつけ、自分の人生が本当にまた繋がるのか?と感じます。何とも言えない焦燥感と言いますか、胸の奥底を甘く掻き毟られるような気持ちにさせられました。

最後にBGMに関して。 映画自体、RADWIMPSのボーカル曲から始まります。それはそれで作品に引き込む意味合いもあってとても良かったです。RADWIMPSというグループを詳しく知らない私ですが、ちょっと買ってみようかなと考えるくらい、合っていました。ただ、ですが。その後も要所要所で彼らの曲が入ります。全体で3〜4回くらい、サビを歌いきるシーンが入ったかな?
会話を入れずに動画だけで時間を経たせる・雰囲気を伝えるという手法は良いと思うのですが、正直毎回彼らの歌声というのはやり過ぎ感がありました。食傷気味になってしまう人も多いと思います。

おわりに

本作の採点ですが、85点です。

余談ですが、本作の大ヒットに関して思うところがあります。『はじめに』の項でも書いたこととも関係するのですが、新海誠監督のこういったアニメ作品が世間一般に受け入れられるようになったことが、そのまま時代の変化を表しているのかなと。 今の中学生・高校生の間ではニコ動が人気で、初音ミクの楽曲が給食の時間に流れているそうです。これは10年20年前には考えられなかったことで、そういった物を好きと言った瞬間にヲタクのレッテルが貼られてしまうものでした。それが今では流行の文化の1つとなっている。そういった若者文化の流れ・世間の流れを受けてのこの大ヒットなのでしょうか。

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

2016/09/20 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎