れあこん

書評、映画評、音楽評など、各種レビュー記事を掲載しています。

マナーが、作るんだ、人間を! - キングスマン(Kingsman) レビュー

はじめに

アントマンを観に映画館に行ったところ、なんか似たような名前の作品を発見。
マーブルでも無さそうだし、ヒーローものでも無さそうだし……
ポスターをよく読んでみるとスパイアクションとありました!
スパイとか入り組んだ話は大好物(アクションもね)なので、観てみることに。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

ブリティッシュスーツを華麗に着こなし、スパイ組織「キングスマン」の一員として活動しているハリー。ある日、組織の一員が何者かに殺されてしまい、その代わりに新人をスカウトすることになる。ハリーは、かつて命を助けてもらった恩人の息子で、密かにその成長を見守っていたエグジーをキングスマンの候補生に抜擢する。一方その頃、頻発する科学者の失踪事件の首謀者ヴァレンタインが、前代未聞の人類抹殺計画を企てていた。

感想/印象に残ったフレーズ

ひと言で言うと、キングスマン達がただひたすら格好良い!映画です。

ヴァレンタインの野望は、携帯のSIMから出る電波で脳を操作し、理性を失った人々同士で殺し合いを行わせて人類の数を減らすこと。そこに立ち向かうエグジーとハリーの紳士っぷりに心がキュンキュンしてしまいました。

さて、特に印象的だったのは以下の3シーンですね。
 1.紳士が理性を失うと……
 2.『聖者の行進』の音楽とともに
 3.スリー、ツー、ワン、パーティー開始!

それではひとつひとつ見ていきましょう。

1.紳士が理性を失うと……

キングスマン・ハリーが電波で脳を操作され、理性を失ってしまうシーンですね。
それまで沈着冷静な紳士でいたハリーが我を忘れて殺し合いに参加してしまい、
結果的にその場(教会)に居た人全員を殺戮してしまうのです。
ハリーのそれまでの行動とのギャップに笑いを抑えきれませんでした。

2.『聖者の行進』の音楽とともに

人の脳を操る電波とともに本作でキーとなるのが、それを受け付けないようにするチップ。ヴァレンタインが選らんだ人はこのチップを埋め込むことで理性を失わない、つまり殺し合いに参加しないで済むような仕組みになっています。

ですが、このチップには秘密があって。ヴァレンタインが意のままに爆発させることが出来るのです。 そこを逆手に取ったエグジーが、ハッキングをおこなってシェルターに隠れていた人全員の頭を爆発させてしまったのが本シーン。

エグジーがハッキングに成功し、爆発させた瞬間に流れる『聖者の行進』。 そしてスローモーションで人々の頭を爆発させ、キノコ雲があがる演出。 余りのシュールっぷりに思わず爆笑してしまいました。 B級映画のようなチープさなのですが、それを感じさせない見事な 作品の雰囲気作りというか……素晴らしいのひと言です。

スリー、ツー、ワン、パーティー開始!

ヴァレンタインの野望は成就し、何度か人類は殺し合うことになります。
以下の予告PVでも観る事ができるシーンですね。


映画『キングスマン』予告編 - YouTube

ハッピーエンドになるとばかり思っていたところでまさかの殺し合い・大混乱が発生してしまい、しかもそれが面白おかしいBGMとともに流れてきて。物語的には最悪の展開のはずなのに、ここも何かコミカルで、面白くてしょうがなかったですね。

おわりに

というわけで、本作品の採点は82点です。
面白おかしいギャグ満載の作品にも関わらず……いや、だからこそなのでしょうか、キングスマン達のスタイリッシュでクールで超強い姿が見事なコントラストとなり、格好良くて堪りませんでした。アクション映画として観ても文句なく素晴らしい、名作だったと思います。

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2015/09/24 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎

名誉は持って生まれるもの、誰もそれを奪えず、失ってもならぬ。 - ラスト・ナイツ レビュー

はじめに

普段私はサラリーマンをしているのですが、その勤め先の社食にて本作の試写会が開かれました。「忠臣蔵」がベースのハリウッド作品ということで不思議に思いましたが、「キャシャーンがやらねば誰がやる」で有名な『CASSHERN』で有名な紀里谷和明監督のハリウッド進出作品とのことでした。
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クールに(しかし心は熱く)語る紀里谷監督。

短い時間ではありましたが、様々な事を語られていました。 本作品、世界33カ国で上映が決まったにも関わらず、日本では配給会社がどこも契約してくれなかったこと。そのため、しょうがなく自分達で全て配給をおこなっていること。そして、これからの世の中、日本だけではなく世界で勝負することの意味……最初の挨拶の間しか居られませんでしたが、とても惹かれる語りでした。

さて脱線しましたが、本作のレビューにいきましょう。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

大臣への賄賂を断り、反逆罪を勧告されたバルトーク卿に死罪が下された。最も残忍な処刑方法によるその死罪は、愛弟子ライデンの手による斬首だった。バルトーク卿の首を自身の刀で落とすこととなったライデンと仲間の騎士たちは、無念の思いで復讐の時を待ち続けた。そして1年後、ライデン率いる気高い騎士たちは、主君バルトーク卿の不当な死に報復する戦いをはじめる。

感想/印象に残ったフレーズ

主君への忠誠こそが騎士(ナイツ)の生きざま。 そのメッセージを最初から最後まで貫き通した作品でした。

概要だけ読むとミスリードになりそうなので、補足します。
主人公であるライデンはバルトーク卿を斬首してから、魂が抜けたように腐ってしまいます。それこそ報復するために戦い始めるまでが本当に長い。この間、報復を考えるような描写も無く、ただただクズな酒飲み男をしています。酒に溺れ女に溺れ、最後には主君であるバルトーク卿より授かった剣すら売ってしまう。

この展開から「やはり俺は改心した!宿敵(大臣)に復讐する!」
となるのであれば嫌だな、と正直ゲンナリして観ていました。

ですが、実際にはそのおこない全てが演技で、1年間クズを演じ続けていたのです。斬首から1年後、見張り者が見張るのを止めたその瞬間、復讐計画が動き出します。ずっとクズを演じていたライデンが一気に騎士の顔になり、仲間を率いて攻め込むのです。このシーンは手前味噌ながら鳥肌が立ちましたね。

さて、本作で個人的に印象に残っている2つのフレーズです。
 1.血のつながりより大切なのは心の絆だ
 2.名誉は持って生まれるもの、誰もそれを奪えず、失ってもならぬ

特に2つ目の台詞は重く心に響きました。
ライデンが上述した演技をし通した後に、復活して放った台詞。
そのシーンを経たからこそ、説得力があり、心に染みますね。

おわりに

本作は一見すると騎士の生き様を描く作品の様に見えますが、その実は古くは戦国時代から、日本の侍に脈々と伝わってきた大和魂なのではないでしょうか。特に一番最後のシーンは正にハラキリですね。

また本作、最後のシーンでライデンは死んでしまいますが、その騎士としての生き方は次世代へと受け継がれます。そういう意味でのLast(続く)Knights(騎士)というタイトルだったのかと思います。

採点ですが、70点です。
映像も見事のひと言ですが、いかんせんストーリーがとてもベタベタな内容でした。 ライデンの心が折れていないことが分かるような、伏線もなかったのはマイナスですね。ただ、ベタベタではありますが、シンプルで、その分とても力強さは感じます。 監督がこういった魂を全世界に届けたい、という気持ちはとても伝わる作品でした。

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2015/11/02 鑑賞@社食

亜原子の世界から戻ってくる方法があるというのか?! - アントマン レビュー

はじめに

マーブルの最新作!
アイアンマンやらアベンジャーズやら派手な作品が多いマーブルですが、
今回は一風変わったアリサイズに変身できるスーツを着た男が主人公。ど派手さがウリのスタジオですが、さてはて本作ではその特色はどう反映されるのでしょうか。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

仕事もクビになり、養育費が払えないため最愛の娘にも会えないスコット・ラング。
そんな崖っぷちのスコットに、謎の男ハンク・ピムから意外な仕事のオファーが届く。
それは、体長わずか1.5センチになることができる特殊スーツを着用し、
アントマン」になるというものだった。選択の余地がないスコットは渋々ながらもアントマンとなり、人生をやり直すための戦いに乗り出す。

感想/印象に残ったフレーズ

マーブルの中ではかなり異色でしたが、中々に楽しむことができました。 本作でとても印象に残ったのは以下のシーンですね。

出だしでいきなり「トニー・スターク」の名前が出てきており、 アイアンマンと世界観が繋がっているのだなとニヤッとしてしまいました。 マーブルファンには堪りませんね。 ですが、本作の主人公や、アントマンスーツの発明者は アベンジャーズに対して非好意的な立場の人達として描かれておりまして。 それぞれのヒーローの派手さ・地味さというコントラストも相俟って興味深かったです。

さて、そんな本作ですが、私の印象に残ったのは以下の4つです。
 1.ダレンが打つサイズを縮小するビーム
 2.ムショ仲間のルイスのトーク
 3.アントマンとイエロージャケットの戦闘
 4.亜原子サイズにスコットが縮み続けるシーン

1つ目。
アントマンスーツを製造したピムの弟子、ダレン。 彼がビジネス相手に対してビームを打つと、相手は小さな肉塊になってしまう。 こぷこぷ蠢いている、人ならざる形となってしまった”ソレ”を 紙で一拭きしてトイレに流してしまうシーンです。 ここでは一見ダレン(敵)の凶暴さ、狂気を描いていますが。 それ以上に本作の背景のヘビーさ・奥深さ・そして気持ち悪さを感じさせてくれます。 小さな肉塊に至ってはR15でも良いのでは?と思うほどの演出で。 人によっては吐き気を催すのではないでしょうか…… アントマン、一見ライトな作品に見えますが、その第一印象をぶち壊すシーンでした。

2つ目。
ムショ仲間のルイス。彼がまた良い味を出しているんです。 完璧な脇役なのですけれど、気の良いギャグ好きなおっさんと言った感じで。 彼の馬鹿なトークは、小さな子供なんかは特に好きなんじゃ無いでしょうか。

特に、スコットに対して、泥棒をするよう勧誘しているシーンは面白かったですね。 「ああ、エミリーってのは初体験の相手で」「本題に行け」といった スコットとの掛け合いは、重苦しい本作の中での清涼剤になっていました。

3つ目。
本作のクライマックスでイエロージャケットを着たダレンとアントマンが戦います。 ですが、そのシーンの演出が実にコミカルでして。 例えばアイアンマンであればど派手に飛び回ったりビーム打ったりするじゃないですか。 ソーであれば雷で一網打尽にするじゃないですか。

でもアントマンはそんなことは出来ない。超速でパンチを繰り出すのみ。 戦闘スタイルはただただヒットアンドアウェイ。 しかもアリサイズで戦っているから、例えばアントマンが大きな建造物を投げても、 それは現実世界の人間の視点に戻すと、おもちゃの家が飛んだ程度の事実なんですね。 この「箱庭の中の戦争」感がなんとも言えなかったです。 敢えてちゃっちいと分からせるような演出をしているんですかね?

また、逆に物体を巨大化させるようなシーンもありました。 機関車トーマスが巨大化して家を壊すんですね。そして目がきょろきょろ動く。 シリアスなシーンにこんなとんでも描写を混ぜてくるので、 とてもシュール……シュールを通り越して、むしろ気味悪く感じられました。

さて、最後4つ目。
主人公のスコットが上記の戦闘で勝つために禁断の技である 原子サイズへの縮小をおこなうシーンです。 アントマンスーツの制御が効かなくなってしまい、 時間という概念の無い世界で永遠に縮み続けることになったシーン。 もうこの設定だけでも身の毛もよだつのですが。 加えて、このシーンの映像表現がとても美しくて。 特に最後に紅〜紫色のダイヤのような世界でぷつっと消えてしまう演出。 人智を越えた世界、誰も訪れることのない世界で、 大切な・素敵な宝石を見つけた様な、そんな感覚に襲われました。 「この描写こそがアントマンという作品の全て」といっても過言ではない、 と思ってしまえるほど。それくらい印象に残るシーンでした。

おわりに

ハリウッドの技術をふんだんに使った愛すべきB級映画でした。 とっつき辛い部分もあるけれど、思わずクスッとしてしまうシーンも多く…… 採点としては80点です。

エンディングの後にアベンジャーズ入り?しそうな表現があったので、 恐らくアベンジャーズ3が実現すれば、参戦してくるのでは無いでしょうか。 アイアンマンやキャプテンアメリカとの掛け合いが今から楽しみでなりません。

オタクはキスを大事にする - ピクセル レビュー

はじめに

先月は3回映画館に足を運んでいたのですが、 予告宣伝ムービーを観るたびに繰り返される「PAC MAN IS A BAD GUY?!」の台詞、 そして巨大なパックマンドンキーコングの映像。 一目観たときから虜になってしまい、ようやく封切りされたのを受け、映画館へ向かいました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

30数年前、宇宙人との交流を夢見てNASAが宇宙に向けて発信した映像の中には、当時大流行していたゲームの映像が含まれていた。ところが、その映像を受信した宇宙人が、友好のメッセージではなく挑戦状だと勘違い。地球が発信したゲームのキャラクターに扮して、現代の地球を侵略してくる。触れたものを全てピクセル化してしまう能力をもった宇宙人にアメリカ軍も歯が立たず、人類は危機に陥るが、ゲームオタクたちが宇宙人の弱点を見抜く。

感想/印象に残ったフレーズ

ひと言で言うと「アイディアの勝利」これに尽きるかなと思います。 30年近く前に登場したファミコンのキャラクター達が3D映像となって大暴れ! このひと言だけで観たいと思う人がどれだけいることか……とても楽しむことができました。

本作は宇宙人の侵略から世界を守というのが前提のストーリーですが、 主人公・ブレナーが過去のトラウマを克服していくのが本題です。 過去のゲーム大会、決勝戦のドンキーコングのゲームでエディに敗れ、負っていた心の傷。 その後「大事な場面になるとゴリラが上から樽を投げてくるんだ」というほどの傷を、 再度、今度は3Dの現実のドンキーコング相手に戦うことで克服していく物語です。

本作、SFなので当然なのですがとんでも設定でして。 主人公の古い友人が大統領になっているというとんでも設定だったり、突っ込み所満載です。 ですが、ソレすらもスンナリと受け入れられてしまうアタリ本作の懐の深さを感じ取れます。

さて、印象に残ったことは3つ。
 1.オタクはキスを大事にする
 2.ギャラガ
 3.ハッピーエンドの後の……
 4.BGM全般
ストーリー的には主人公と女性中佐ヴァイオレットとの恋愛もどきもありますが、 もっとも楽しめたのはアクションシーンですね。

1つ目はそのものズバリ、「オタクはキスを大事にする」の台詞ですね。 序盤にブレナーがヒロインに向かって話した後、 エンディングで再度この話をして伏線を回収するだけの話ですが。 なんというか、心にくるシーンでした。 ギークの貞操観念というか、誠実さを表した脚本。納得感が凄いですね。 それに掛け合わせた、「だからヲタクはキスが上手い」には笑いました。

2つ目にギャラガ戦のアクションシーン。 それまで軍の人達から迫害され気味だった「ワンダーボーイ」。 彼がその立場から一気にエースとして戦いに参加していく様になるシーン。 一気に主役に駆け上って行く様が最高に気分良かったですね。
そういったシチュエーションを踏まえた上で。 彼と主人公ブレナーが銃を華麗にぶっ放しまくってギャラガを破壊していく。 2人のぶっ放しっぷりや連携っぷりがとても頼もしく、見惚れてしまいました。

3つめ目は、ハッピーエンドのお笑いシーン。 ワンダーボーイは侵略してきたエイリアンの変身したレディ・リサと結婚します。 レディ・リサは彼が小さい頃から溺愛してきたゲームの女の子で、 ずっと思ってきた愛が結実した(ある意味)美しい展開だったのですが。 後日談のシーンで、2人の子供としてQバートが沢山居たのには笑いました。 Qバートが変身したレディ・リサとの子供だったからなのでしょうが、、、 このシーンは吹き出さざるを得ませんでした。

最後4つ目、BGMについてです。 全体的にBGMはとても素敵だったなぁと……。 特に出だしのアメリカ?西部劇?っぽいBGMはとても心地良かったですね。 ゲーム作品の臨場感を出すのに各ゲームのBGMが使われていたりと、面白く。要確認 劇をとても盛り上げていたと思います。

さて一方、残念だった点もあります。 ファイヤーブラスターが小人?のような人だったのは何故なのでしょうか。 全体的にヲタク蔑視な雰囲気が漂っていて、その点は好きになれませんでした。 (敢えてああいったステレオタイプな、嫌われ者のヲタク像を描いたのかもですが)

おわりに

私自身がゲーマーでドット絵ゲーム世代だったということもあり、とても楽しむことができました。 と言うわけで、本作の評価は84点です。 ドット絵や8bitの時代を知っていて、好きだった人には是非観て欲しい作品ですね。

余談ですが、こういった作品がハリウッドから逆輸入されてくるのは少し残念な気持ちになります。 本作を観るにつけ、こういった作品は日本の映画映画関係者にこそ作っていただきかったなぁと思うことしきりです。

Pixels

Pixels

愛を誰かの心に呼び起こさせることができるものは人間に値する - ted2(テッド2) レビュー

はじめに

全米はもちろん、日本でも大旋風を巻き起こした超問題作、ted(テッド)。 可愛い姿をしたクマの人形がPTAも真っ青の下ネタ全開で暴れ回る名作でした。 本作はそんなtedの続編。前作がとても気に入っていたので、期待して映画館に向かいました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

バイト先で知り合った彼女タミ・リンと結婚したテッドは、 子どもが欲しいと思うようになるが、子作りのために自分が 人間であるということを証明しなければならなくなる。 困ったテッドは美人弁護士サマンサにを雇い、法廷に乗り込むのだが……。

感想/印象に残ったフレーズ

物語が始まってまず最初に驚いたのが、テッドの親友のジョンが前作の彼女(ロニー)と 別れてしまっていて、何事も無かったかのように独り身でスタートしていること。 前作であれだけ色々あったというのに……時の流れは悲しいものですね。

そして、まさかのタミ・リンが続投&テッドと結婚。 そうです、前作tedでテッドが顔射の真似をしてドン引きしていたスーパーのレジ打ち係です。 まさか彼女がレギュラー扱いになるとは誰が予想したでしょう。

さて、本作で気になったポイントですが、以下です。
1.ヒロインのサマンサがかわいい。
2.相変わらずの下ネタ満載っぷり。
3.本作の根っこにあるストーリー、人権問題

1つ目。本作のヒロイン、サマンサ。
演じているジェシカ・バースさん、初めて見たのですが、 (とても好みでした……は置いておいて)、すごく上手い演技でしたね。 麻薬の常習犯弁護士という設定もぶっとんでいますが、 そのラりってる具合・気だるさを見事に演じきっているように感じました。

2つ目、これがテッドの本懐かと思いますが。
一夜を一緒に過ごしたジョンとサマンサに対して クールに「昨日はキスだけか?それとも指入れたの?」と聞くテッド。 このエグさがテッドですよね。思わず爆笑してしまいました。
そして、前作ではドン引きしていたタミ・リンすら、 今作ではゴリゴリにテッドワールドに参加していきます。 テッドに向かって「ママになるの超得意なんだ!!」と満面の笑みで 答える彼女の顔を忘れられません。

さて、最後3つ目。
前作はテッドとジョンとの友情にストーリーの比重が置かれていましたが、 今作ではテディベアという濁した・シンボル化した存在を対象として、 人権問題に深くフォーカスを当てています。

サマンサが裁判官の心に訴える為に試行錯誤を重ねる姿、
そして最初は弁護を断っていた弁護士ミーアンがテッドの姿に心を動かされる流れ、
最後の弁護の際にミーアンが放った台詞、
「愛を誰かの心に呼び起こさせることができるものは人間に値する」
正直本作を観て感動して泣かされるとは思いませんでした。
※そもそも期待していなかったというのもありますが……
このシーン、必見です。

おわりに

評価は83点です。
前作の壮絶な面白さからハードルが上がり過ぎていたのか、 若干期待ハズレな部分もありましたが、それでも馬鹿になって笑うことができる良作でした。

最後のシーンでテディベアを子供にプレゼントとしてあげていたので、 おそらく続編をやるのでしょうね。しかもテッドが2人3人と増えて…… 1人でも大変な有様なので、複数居たら目も当てられない下ネタワールドが展開されそうですね!
今から楽しみでなりません。

9番パドック、オープン! - ジュラシックワールド レビュー

はじめに

ジュラシックパークの後継作。 小さい頃に観たことはあるものの、正直朧気で、余り記憶や印象もありませんでした。 ですが、たまたま映画館で「ジュラシック」の名前を目にし、「恐竜の大暴れでも観るか!」と思い、そのまま観ることにしました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

事故の起こった「ジュラシック・パーク」にかわり、新たにオープンした「ジュラシック・ワールド」では、 ジャイロスフィアという球体の乗り物でめぐる恐竜見学や、モササウルスの水中ショーなどで人気を博していた。 さらなる人気を獲得したい責任者のクレアは、飼育係オーウェンの警告も聞かず、遺伝子操作により、 凶暴で高い知性をもった新種の恐竜インドミナス・レックスを作り出すが……。

感想/印象に残ったフレーズ

子供が好きそうな映画だな、というのが観終わった感想でした。
印象的だったのは以下のシーンです。
1.翼竜の襲来
2.オーウェンの疾走
3.インドミナス・レックスの先頭
4.戦いが終わって……

1つ目。
これがもっとも印象に残ったのですが、 翼竜の大群が市街地に押し寄せるシーンが壮絶でした。 これは凄かったですね。空から襲ってくるから常に見られている状態で。 建物の中に入っても壊して襲ってきて逃げ場がありません。 人々の恐怖がスクリーンを通じて痛く伝わってきました。

2つ目。
主人公であるオーウェンラプター達を従えて インドミナス・レックスの元に向かって疾走するシーン。格好良すぎます。 ※到着直後にラプター達に裏切られるのが切なかったですが。

3つ目。
戦闘シーンですね。これはもちろん素晴らしかったです。 ただ、インドミナス・レックス対ティラノサウルスの1on1は正直物足りなかったです。 なんというか、着ぐるみを来た人同士の取っ組み合いのように見えてしまって。 ちょっとちゃっちい印象を抱きました。

その分、ラプターティラノサウルスが手を組んで戦うシーンはとても燃えました。 1度はインドミナス・レックスの元へ裏切って行ったラプター。 最後にオーウェンの声掛けに、今までの信頼関係を思い出し、巨大な敵に立ち向かって。 そして、スピードを武器に華麗な攻撃を繰り出していくのです。 いやはや、格好良いのひと言です。胸が熱くなる展開でした。

4つ目。
最後、避難所で沢山の人が悲しんでいるシーンですね。 日本人特有だと思いますが、3.11の避難所の方々の映像を 思い出して少しホロッときました。あの地震を経験した人は、 本作に限らずこういったシーンを観る度に思い出すのですかね。

さて、以下は観ていて疑問・不満を抱いた点です。

本作、恐竜を見せる為の映画、ということは分かっていたのですが、 ストーリーは無茶苦茶……あまり意味を求めてはいけませんね。 子供2人のうち兄・ザックが好き放題して弟・グレイを危険に巻き込んでいるのに、 グレイはそんなザックを最後まで信用しきっています。 これが兄弟愛と言われると、疑問を感じざるを得ません。

また、ヒロインのクレアにしても、自分の欲のために観光客や オーウェン達を危険に追いやってしまっています。 兄弟の母・カレンからのお願いもそこそこに好き放題やった結果がこの映画です。 なんというか……もっと真面目な脚本でないと、感情移入は全然出来ないと感じました。

加えて、終盤で突然出てくるティラノザウルス。 ティラノザウルス、などと書いていますが、最後に出てきた恐竜がティラノザウルスだと いうことも、映画が終わってからネットで情報を読んでいて知りました。 9番パドックに秘密兵器が居るなんて伏線なかったので、唐突過ぎました。 前作を観ている人で無いとついていけないラストの展開に正直ガッカリしました。

おわりに

採点としては69点です。
映像は勿論凄い、文句ない、流石ハリウッド!といった感じでした。 ですが、ちょっとストーリーが適当過ぎやしませんか? 折角の大作なのに残念というか……本当もったいないですね。 もし次回作があるようでしたら、その辺りを改善したジュラシックな世界を期待したいと思います。

ジュラシック・ワールド (竹書房文庫)

ジュラシック・ワールド (竹書房文庫)

Jurassic World / O.S.T.

Jurassic World / O.S.T.

捨てなければ得られない - 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (実写版)レビュー

はじめに

原作ファンとして興味を抱いていた本作。 実写としてするには中々に難易度が高い内容だと思っていたのですが、 「立体駆動の演出が格好良い」 という、どこからか聞いた風の噂に絆されて観に行ってまいりました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。 かろうじて生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていたが……。

感想/印象に残ったフレーズ

本作、原作ファンが前情報無しに観に行くと間違いなく面食らうのではないでしょうか。 根っこの部分は原作を守っていますが、オリジナルな設定を ふんだんに盛り込んだパラレルワールドと思った方良いです。 「シキシマって誰……???」 「ミカサがエレンに対して一途じゃない。こんなのミカサじゃない」 「エレンの目の前で巨人の餌食になったのが母親じゃなくてミカサ」 という時点で原作のストーリーを踏まえる気がさらさら無いのが分かっていただけるかと思います。

後編もあるので、現時点でストーリーの是非について言及するのもナンセンスかもしれませんが、 前半だけ見て感じた思いを書いておきます。 まず、原作と違うエレンの喧嘩っ早さ・支離滅裂さについて行くのがやっとでした。 行動が突飛で理論だっておらず、感情移入は一切できませんでしたね。 シキシマという謎な登場人物については、未だに何ものなのか?というワクワクで一杯です。 彼についてはこれから、という感じなのでしょうね。とても楽しみ。 ミカサについてはもう本当良く分かりません。 ただの恋愛物なシナリオを描きたくてポジションを変えたんですかね。現時点ではガッカリです。

次に、表現について。 日本人キャストがメインで外人もおらず、街の中はまるで江戸~明治時代の様でした。 巨人が襲ってきたときなんか、江戸時代に火事でも起きたのかと思うような見た目で。 最初は違和感しか感じられず笑ってしまっていたのですが、 逆に日本の生活に落とし込んで表現することで、より実感を持って巨人が襲ってきた という危機を感じることができたのはとても良かったかなと思います。

また、原作では絵柄の関係か、色恋沙汰的な話は殆ど無いのですが、実写版だとそんな訳もなく。 極限状態での男女が居れば、そこにセックスが発生するのは自然な流れでしょう。

まず、シキシマとミカサの関係に嫉妬し絶望するエレン。 寝取られ(NTR)的な展開で叫ぶエレンには、思わず「若いねー♪」と言ってあげたくなります。笑 そして、そんなエレンを誘惑する人妻さん。 「子持ちは嫌……?」って言いながら、エレンの腕をつかんでおっぱいを 揉ませるシーンなんかは、妙に艶めかしくて良かったですね。 それ以外にも、最前線でヤっている男女の描写もあり。"人間"を良く表していると思いました。 ただ其の分、R指定でないのは良くないですね。原作ファンの子供には見せられないなと。

演出に関しては……賛否両論になりそうな気配です。 一番最初に出てきた「超大型巨人」の質感は正直微妙でした。 なんというか、ウルトラマン仮面ライダーと言った子供向け特撮を見させられている感じで。 ダサいなぁ……という思いを消し去ることは出来ませんでした。 それと対照的に、通常の巨人達については全然観ることが出来ました。 変に原作に合わせるようにすることなく、人が感じる気持ち悪いの限度で表現されていて。 こちらは素直に良いな、怖いな、と思うことが出来ましたね。

立体駆動に関して言えば、間違いなく格好良かったです。 以前から「実写で表現するのは不可能」と言われていた本仕組みですが、 本作では見事に表現しきっており、素直に格好良いなぁ!と思うことが出来ました。 ただ欲を言えば、もう少しスピード感が表現出来れば良かったなと。 私がアイアンマンなどのアクション映画に慣れ親しみすぎているからかもしれませんが、 全体的にのんびりとした感じを受けました。 1.5倍くらいのスピードで表現してくれれば、言うことなく満足だったのに……すこし残念です。

さて、演技に目を移しましょう。

もっとも印象に残ったのはハンジですね。 原作の中で随一のお気に入りキャラクターということもありますが、 誰がどんな演技をされるのか、とても不安でした。 ですが、その不安は登場シーンの奇っ怪な声とともに吹き飛ぶことになりました。 頭のネジが十本ほどぶっ飛んでるのではないかと思わせるような声のトーン。 巨人に対しての異様なまでの興味。巨人を見たときの興奮っぷり。 それらを余すことなく表現しきっていました。 むしろ、こちらが原作ではないか?と錯覚するような演技、女優さんの中での昇華っぷり。 後で石原さとみさんが演じていると知ったのですが、本当にハマり役でしたね。 素晴らしいのひと言です。

最後にBGMについて。 こちらはとても気に入りました。 特に序盤ですが、民族音楽的な牧歌的な雰囲気の曲が流れていて。 塀の中の雰囲気を見事に表現しているな……と、感心しきりでした。

おわりに

ストーリーについては正直後編次第な部分が大きいです……が。 良くも悪くも原作を換骨奪胎している点はとても評価できると思います。 その結果駄作だったとしても、良いチャレンジなのではないかなと。 現時点ではストーリーに粗も多く目に付きますが、 それを補う演出・演技・音楽がありました。ということで、採点としては68点で。