れあこん

書評、映画評、音楽評など、各種レビュー記事を掲載しています。

『好きなことから逃げたら後悔する』はどこに行った? - 台風のノルダ レビュー

はじめに

会社からの帰り道。
ふと映画館に立ち寄りポスターを見ると綺麗目な絵柄の作品が飾られていまして。
気になってネットで調べてみたところ、
 ・ジブリ出身の方が監督をされていること
 ・「好きなことから逃げたら後悔する」というフレーズ
にヤられまして、即決で観に行くことにしました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

とある離島の中学校を舞台に、少年同士の友情を描いた青春劇。
文化祭前日、島に観測史上最大の台風が接近するなか、
幼い頃から続けていた野球を辞めたことがきっかけで親友の西条と
ケンカした東は、突然現れた赤い目をした少女ノルダと出会う。

感想/印象に残ったフレーズ

率直に申し上げますと、駄作でした。
本上映ですが、45分間の短い上映にも関わらず前半1/3強が別作品でした。

前半の作品は『陽なたのアオシグレ』。思春期に入る以前の、
子どものほのぼのとした恋心を描きたかったのかなぁと思います。
ですが、ニマニマしている表現や妄想が思いの外気持ち悪くて。
成功前提でのあの主人公の暴走っぷりや、最終的に何も言わない温さは
観ていて気分の良いものではありませんでした。

ただ、後半以降のぶっ飛びっぷりはとても面白かったですね。
主人公の描いた絵の鳥に乗ってヒロインを追いかけるシーンの表現は素晴らしくて。
監督さん、元アニメーターの面目躍如といったところでしょうか。
それにしても、本当はギャグ漫画だったのかな?思わず笑ってしまいました。

さて、タイトルにもなっている、本命の『台風のノルダ』。
こちらも率直に申しまして、楽しかったとは言いづらい作品でした。

監督さんが自分の描きたい部分・伝えたい部分しか描いていない印象を受けました。
言ってみれば、起承転結の起と結しかありません。
30分弱という時間は物語を掘り下げるには短すぎたと思います。

男の子2人の友情だってもっと丁寧に描かないと理解できないし、
ヒロインの女の子についても、初見のシーンの後唐突に仲良くなっていってるし。
ノルダは結局何がしたかったの?何で戻るの?釈然としませんでした。
短いなら短いなりに納得のいく展開をして欲しかったですね。
「好きなことから逃げたら後悔する」の台詞も放り投げっぱなしでしたし。
そんなこんなで、ストーリー的には不明な点や矛盾点が盛りだくさんでした。
※厨二な物語は私的に大好物なのですが、それを差し引いても厳しかったです。

極めつけは、男の子2人がお互いがお互いを認め合うシーン。
声優が棒なんです。とっても棒読みなんです。
一番盛り上がるシーンなのに……本当ガッカリしました。

おわりに

絵はとても綺麗だし、アニメーションもぐりぐりステキなんです。
ですが、肝心のストーリーがお粗末なことこの上なく……採点としては36点で。
新井陽次郎監督、今後どうするのでしょうか。
個人的には、美術面に特化して、新海誠監督のように、
その強みを尽きてつめていってくれたら面白い、、、のかな。

採用条件は、ドリーマー【Dreamer】 - トゥモローランド / Tomorrowland レビュー

はじめに

ベイマックスやらアナと雪の女王やら、 大ヒットを飛ばしまくっているディズニーから最新作が届きました。 その名も「トゥモローランド / Tomorrowland」。
ウォルト・ディズニーが遺した、“最大の謎にして最高のプロジェクト”という 謳い文句に惹かれ、劇場に足を運んできました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

宇宙飛行士を夢見る17歳の少女ケイシーは、ある日、自分の荷物の中に見慣れないピンバッジが紛れ込んでいるのを見つける。ピンバッジに触れたケイシーは、テクノロジーの発達した未知の世界「トゥモローランド」に迷い込むが、ほどなくして元の世界に戻ってきてしまう。そんな彼女の前にアテナと名乗る謎の少女が現れ、「再びトゥモローランドに行きたければ、フランクという男を訪ねろ」と言う。このことをきっかけに、ケイシーは人類の未来をかけた冒険に出ることになる。

感想/印象に残ったフレーズ

実は今回、本編の内容について一切事前情報無く観に行ったんですね。 なので、フランクがジェットパックを操ったり、ロボットの女の子が登場するのを見て、
 「チャッピーに続きまたロボットものかよ!」
 「イミテーション・ゲームやブラックハットに続きまたエンジニアものかよ!」
といった思いに駆られました。私的には大好物なのでむしろ大歓迎でしたが。笑

ストーリー的には王道も王道のSF冒険アクションでした。ケイシーが地球を救うために奮闘する物語……という触れ込みでしたが、蓋を開けてみたらフランクの方が主人公っぽかったですね。ロボットであるアテナに恋をして挫折し、失意のまま地球へ強制送還。そこから紆余曲折経てケイシーと協力してトゥモローランドへ向かい、地球を救う。熱いですね!ところどころ黒ディズニーも出ていましたが、全体的に安心して観ていられました。

そのため、そのまますんなり(ストーリー的に違和感を感じるような部分もなく)エンディングを迎えて。チャッピーもそうでしたが、テクノロジーのある未来を肯定的に描いて終わる作品が最近多いと感じています。本作も、次世代アテナを地球に送り込んでエンドを迎えた訳ですが。不思議な感じがしました。むしろその感覚こそが違和感なのかも。一昔前にはこういった作品群はそんなに無かったように感じます。

人にフォーカスを移しましょう。ケイシー役のブリット・ロバートソン、とても可愛かったですね!諦めない心、という言葉が今回のキーワードの一つでしたが、それを良く表していたと思います。目力の強さがピッタリですね。特に、NASAのロケット施設取り壊しのシーンで「考えるより諦めるのが簡単だから」と話す彼女にはゾクゾクするものを感じました。

さて、忘れてはいけないのがBGM。程よく近未来的な感じとノスタルジックな雰囲気をあわせもった曲が延々と流され続けておりまして。この感じこそが「トゥモローランド」なのだな、と実感させられます。映像が話題に上がりがちな本作だと思いますが、負けず劣らず音楽も素晴らしかったですね。 個人的には、全体的に2013年版のシムシティの曲にとても似ていたと感じました。
※今見返して見たら、映像演出やら未来都市の雰囲気やらも本作に似ていますね。笑

おわりに

毎度のことですが、こういった作品を観るとエンジニア魂がゆんゆんに刺激されますね! フランクの生き様、そしてケイシーの諦めない心。最後まで成し遂げることの大切さ。 子ども向け映画にも見えますが、大人が観ても、むしろ大人こそ心にクる作品なのではないでしょうか。 採点は86点とさせてください。

余談ですが、ロボットやら人工知能やらAIやら、未来を描いた作品を観ると、 ネットで出回っているドラえもんの最終回の同人誌のこの台詞を思い出します。
「君たちは知っているはずだ "ドラえもんが来た"未来の時代に
 繋がるにしては進化のスピードがあまりにもゆるやかだと」
昨今のIoTブームの背景には、現代を生きる最先端の経営者・リーダーの焦りを感じずに居られません。
※その流れが、テクノロジーやスタートアップの世界を超えて、映画など文化系の方面にまで波及してきたのかなと。

電車に乗って行こうよ! - 非現実の王国 / guizillen 感想

はじめに

友人からのお誘いで観てきました、劇団guizillenさんの2回目の公演。 個人的に楽しみにしている演者さんが出ているということもあり、 また、1つめの公演が素晴らしかったとも聞いていたので、期待を胸に観劇してきました。 会場に到着して入り口に置いてあったポスターの闇属性な絵柄に心はホクホク。

概要やら印象に残ったシーンやら

引き籠もりの40歳の男性を題材とした、 彼が内に籠もるようになってから、様々な経験を経て、結果的に外に出て行くまでを描いた物語。

と言うと、重苦しい・ものものしい作品を想像してしまいがちですが、本作では全然そんなことなく。 参加されている方がほぼ男性、そしてゴリゴリな(印象の)方も多く、常に勢いに溢れていましたね。 出だしの「電車に乗って行こうよ」の曲から一気に雰囲気を持っていっていかれていました。

その後も、場面転換に手拍子(楽器ではない)を多用して勢いをつけ続けてる演出をしていたり、 各々の場面において、身体全身を使って元気に表現されることで、むしろそのギャップを印象づけていました。

そして、話の内容自体も笑わせるところのメリハリがシッカリしていて凄く凄く笑えました。特に、
 ・タカシの祖母が亡くなって天に召されそうな場面の、天使達が出てくる・ヘビメタエアー演奏の重ね合わせ
 ・エディさんが登場と同時に即死したシーン
 ・突然戦隊物のノリが始まり、服を脱ぎ裸になる&マリファナ?を吸い、敵さんに立ち向かう
この3つには腹を抱えて笑ってしまいました。 このシーンに限らず、ニヤッとするシーン、爆笑するシーン多くて。途中、劇というよりコントを見ている感が強かったですね。

そんな面白作品なのですが、最後のジョーとのお別れの場面ではホロリときてしまい……てか結構泣いてしまったよ。 ベタベタなんだけれどね、ジョーの手がタカシに触れずに身体を通ってしまったような演技がね。 あのタイミングで突然触れなくなったのが良かったのかな?なんでなんだろうね、不思議。ぐぬぬ、とても良かったです。

余談ですが、ほぼ常に舞台の上で堂々と着替えをしているのが面白かったですね。 頭の中を表現しているから、ってことなんでしょうか。こんな表現もアリなんだー、っていう、良い意味での発見でした。

演者さんについて

さて、今回の個人的にとても楽しかった点は、エディさんの演者さん。 上記、エディさんとして登場・即死したシーンは勿論なのですが。 お婆ちゃんとして登場&死ぬシーン、マリファナを吸っているシーン、 女の子が部屋に入ってきた時の浮かれっぷり、ジョーが暴走している際にドサクサに紛れて自己紹介している場面等等。 お調子者キャラとしての演技の数々、本当に楽しく観ることができました。 最後、崖の上に座られていたシーンでは、ジョーにおいていかれた後の反応すらも面白くて。最早ズルいなとすら。笑

私は今まで演者さんにスポットを当てて作品を選ぶ・観ることはしない人間でした。 気になる演者さんも2人程居ます(内1人は今回出演されている方です)が、あまり人に興味を持つことはしない主義で。 けれども、彼の作品は今後も観てみたいな、と思えて。そんな素敵な演技でした。

マイナスに感じた点をいくつか

最初の演出(遅刻した人にドッキリ云々)は好きでないです。 あの表現をすることで、ある種の「悪意」を観客に持たせることになる。 心への揺さぶりという意味では良いのかもしれない、手法としては納得出来る、けれど。 そんなことしなくても直球でお話を始めてくれても、そのままスンナリ入ってくるのになぁ……って。

また、会場自体のことで言うと、見辛い感がありました。 座って演技されている場面も多かったのですが、そこについては残念ながらほとんど見えず…… 座られている方、上手く話せない設定上、表情で演技されている箇所も多かったと思うので、残念でした。

おわりに

この脚本を描いた人は多重人格障害を患ったことがあるのか、またはその類の方なのでしょうか。 両手を引っ張られて自分が引き裂かれそうになるシーンや、ジョーが消えることを嫌がるシーンで、特に感じました。 何故患者さんは中々その世界から出てくることが出来ないのか?正しいのかは別として、1つの答えを観、納得できた感がありました。

さて、多重人格障害のタカシさんはまぁまだ救いがあるのかも知れないけれど。 途中で彼の部屋にやってきて、まさかのタカシ自身にボコボコに言われてしまったサノさん。 彼が散々言われた台詞は、いわゆるアーティスト志望の方、似非芸術家気取りの方、 そしてそれを言い訳に社会に適応出来ない方ーーーそんな方にはドストレートに響くのではないでしょうか。 不器用に生きるしか出来ないことを認め諦め、ソレを開き直って受け入れてしまう事の屑っぷり、傲慢さを諭された気がしました。

人工知能とロボットの邂逅、IoTとAIの行く末 - チャッピー レビュー

はじめに

イミテーション・ゲームを観たときかな? 劇場予告で面白そうだなぁと感じて観るに至りました。 人工知能絡みの近未来ロボットアクションと思い乗り込みました。 AIとは?人工知能の暴走はあるのか?といった内容を期待して行きました、が。 内容的にはある部分では深く、ある部分では浅く。中々に面白い内容でした。

概要

天才技術者であるディオンが秘密裏に作っていた人工知能。 会社から盗んだロボットにインストールしたが、そのロボットがギャングに盗まれる。 ギャングに育てられたロボットが悪さを重ねていくが……といった内容のストーリー。 南アフリカを舞台としており、ハイテクと修羅の国のコントラストがとても良い感じでした。

感想/印象に残ったシーン

今最も旬な話題である、IoTと人工知能=AI。 これから先の情報産業、行く末を描いている作品のように思えました。

チャッピーの成長のシーンはとても興味深く面白く、本当にこんなAIが出来るのかな? という希望に満ちた気分で楽しく観ることができました。 人間の赤ちゃんのように学んで、ただそれは物凄いスピードで。 周囲の人間の教育でいかようにも変わる様もそうですが、人間そのもの、 いやむしろ人間よりも純粋な存在として描かれていました。こんなAIが出来たら未来はステキ。

それと対照的だったのが、ディオンの同僚。自分の私利私欲の為には何でもする。 オーストラリアの軍隊で働いていた彼を観るにつけ何とも言えない暗い気分に。

加えて、明らかにエンジニアに似ても似つかない体格と、性格。 終盤でディオンの頭を机にたたきつけ、銃で脅すシーンなんて最悪ですよね。 私の会社でもそういう輩が多い、ということもあり、なんとも言えない気分でした。 傍観者というか、そういう技術のある人を使い込んで上に登ろうとする筋肉系・チャラ系な方々が。

リアリティがあってとても良いですが、反面、 (映画の出来・不出来とは関係ないとこで)気分が良くなかったなぁと。 ブラックハットの際にも思いましたが、生々しさを出すのって難しいですよね。 ※逆に、ブラックハットの場合はムキムキな方をエンジニアに選んだのはミスチョイスだと感じてます。 ※その点、イミテーション・ゲームやソーシャル・ネットワークはリアリティがあって良いですね。

また、この作品、AIが暴走するようなことは一切想定されていないんですよね。 結局同僚さんの作ったマシーンは「判断できる人間が使う」ことをウリとしながら、 その人間自体が(1人目触った人=同僚)から糞だったため、物にならなかった。 翻って、ディオンの作ったAIは(チャッピー以外でも)制御通りに動き続けた。 この辺りに、AIという技術に対する脚本家の絶対的信頼がある・そういう思想だということが透けて見えました。 私個人はこの考え方好きなのですが、世間が求めているのはAIそのものの暴走じゃないかな?と思っているので、 その点で本作が受け入れられるのか?は興味深い所です。

さて、以下は人の意識について。 思考そのものの解析をチャッピーがおこない、 終盤でディオン自身がその仕組みを使ってロボットに意識を転送されたシーンは印象的。

ここでそんなことできないだろう?的な安っぽさを感じると同時に、 もしできたとしたらこんな感じになるのだろうか、という疑問も抱いた。 周囲からしたらその人の人格が本当に転送されているのか何か分からないし、 同じような振る舞いをするのであれば、できているできていないに関わらず、その人なんだろうなと。 ちょっと横道に逸れた感はありますが、そんなことも思いました。

そして、本当に最後にギャングの嫁さんの意識を復活させようとしているシーン。 この部分はゾクゾクッと鳥肌が経ちました。 特に、このタイミングで流れているBGMが凄いんですよね。 子どもの声のサンプリングって、無邪気さと同時に、ある種の狂気を感じさせるじゃないですか。 この薄ら寒さ、最高でした。

おわりに

IoT/AIの未来を覗き見つつ、人間そのものへの問題提起もしつつといった本作でした。 結局、人の意識を転送することができる+人工知能は人間を裏切らないという、 想像しうる限りの万々歳な未来で幕を降りました(登場人物は別として。)

若い頃の私であれば、凄く好きな作品!と諸手を挙げて祝っていたかもしれません。 けれど、なにかもう少しスパイスが欲しいなぁ、とも感じてしまいました。というわけで、70点です。

チャッピー

チャッピー

リーダーシップが発揮されるのは、真摯さによってである。 - まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論 書評

はじめに

7つの習慣で一躍有名になった『まんがでわかる』シリーズ。
前作がとても分かりやすく、また、自分の人生を変える書となったため、非常に楽しみにしていました。 加えて、ちょうど会社の推薦図書に挙げられていたこともあり、読んでみることにしました。

概要

仕事の失敗から東京での仕事を辞め、地元に帰ってきた女の子が村の観光の発展の為に奮闘する本作。 彼女がチームのメンバーの力を頼りながら、村へ来る観光客をいかに増やしていくのか? そのストーリーを通じて、ドラッカーの言うリーダーシップ、を学ぶことが出来ます。

感想

過去に私がもしドラをザッと読んだこともあってか、新規の情報は私には正直少なかったです。 7つの習慣など、他の自己啓発書と被ってくるような内容も多少ありました。 ですが、概要にも書いた通り、漫画の内容がとても面白く、 サクサクと頭を再整理しながら読み進めることができました。 普通に働いていた、苦労した社会人を題材としている部分も共感し易いポイントなのかな、と思います。

印象に残ったフレーズ

逆にそれ(私たちが仕事で共有すべき指名は何か?)が決まれば、
オレたちも自分で考えて行動できるようになる

人に仕事をお願いする上で、認識の共有は大事なこと。
言葉面も大事だけれど、それをおこなう意味を考え、話すことが大切なんですね。

専門家…彼らにはな "指示"をしてはいけないんだよ

この部分の話は目から鱗でした。
私の職場にも専門家のような後輩がいるのですが、
彼ら彼女らには成果を求めるだけで良かったんですね。
どのようにモチベーションを上げるのか?上手く成果を上げさせるのか?
悩んでいたのですが、その回答を見つけられた気がします。

人を動かすのは結局人でしかないってことか

よく言われることではありますが、結局人間は情で動く、という話。
社会に出る前は「そんなことないでしょう?」と思っていましたが、実際に働いている方なら分かりますよね。

組織の内外を問わず上の立場の相手の
弱みを補って動くという発想もリーダーシップには欠かせないのだ……

このフレーズは私が良く上司に言われていたことだったので、とても実感がありました。 上の立場だけでなく、下の立場で生きていく・組織内で生きていく場合に大事な考え方ですね。 リーダーシップを取って物事を進めて行く立場の人でもそうなんですね。

リーダーシップが発揮されるのは、真摯さ(integrity)によってである。
範となるのも、真摯さによってである。真摯さは、取って付けるわけにはいかない。
…真摯さはごまかせない

この本を読んでいて最も印象に残ったことその1です。
メンバーを怒ったり𠮟ったりするときに、それが受け入れられるか?の
重要な要素の1つに、この真摯さ-Integrityがある。
常に物事に対して真摯さを以て接し続けていなければ、
人からもリーダーとして受け入れられないのですね。

仕事がいつもうまくいくとは限らないからな
落ち込んだりすることは誰にだってある
そんなとき「自分だって人の役に立てるんだ」
「自分は誰かに必要とされる存在なんだ」と思えれば、
それが心の支えになるし新しいチャレンジをする自信になるんだ

この本を読んでいて最も印象に残ったことその2。
ボランティアをすることの意義を語っている時のフレーズです。
何のためにするんだろう??って長年疑問に思っていたことでしたが、
その効能についてとても納得のいく回答が書かれておりました。
疲れ切った心を復活させる、心のエンジンなんですね。

おわりに

印象的なフレーズにも書きましたが、ボランティアの話は私にとってとても参考になりました。 今まで殆どしてきませんでしたが、自分でもボランティア何かしてみたいなぁと。 自分の実際の行動に落とし込めるような内容が書かれているという意味で、意義のある書籍でした。 というわけで、採点は70点で。

まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論

まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論

人間は求めていい - 現実を視よ 書評

はじめに

ファーストリテイリング柳井正さんが書き記した本作品。 会社の推薦図書に挙げられていました。 思想的な図書が推薦されることは余りありません。 その珍しさから興味を持ち、読むに至りました。

結論、今後、経済(、政治)を支えていく日本人であれば 誰であろうと読んだ方が良いと感じられる良書でした。是非オススメします。

概要

『この本を書くことは、一経営者としては正しい判断ではないかもしれない』 帯に書かれているこのキャッチコピーの通りです。 経営者を安全に今後もおこなっていくことを最優先するのであれば、こんな本は書かないでしょう。

柳井正さんの熱い思いがこの本には詰まっています。 失われた20年と叫ばれている現在の日本を憂い、そこからどう抜け出すのか? そもそも、抜け出す必要があるのか、といった精神論から、 東南アジアの人々の生き様、韓国や中国の躍進を踏まえ、今後日本はどうして行くべきなのか? といったアクションについて、延々とその思いが詰まっています。 その中には、官僚批判や政治批判も含まれています。 そのような書籍を今経営をおこなっている真っ最中に出す心意気、大和魂。彼の思いを感じずにはいられません。

感想/印象に残ったフレーズ

前項にも書きましたが、柳井正さんの日本を思う気持ちが痛いほど伝わってくる本書。 その中でも、特に私の心にグサッと刺さった箇所をピックアップしました。

ほんとうならそこで日本人は夢から醒め、覚悟を決めるべきだった。余剰人員を抱えた債務超過起業を整理して、 古い産業構造の転換を図り、バブルのツケを積極的に払わなければならなかった。 未来に向かって第一歩を踏み出す必要があったのである。 しかし、日本はそれをしなかった。 バブルの残り香に良い、相変わらず自分たちは金持ちだと勘違いしたまま、努力もしないまま、 このまま現状が続くはず、場合によっては、またバブルが来るのではないか-と思ってしまった

失われた20年が生まれた理由が、この箇所を通じて良く理解出来ます。 本当は目を向けなければ行けない現実から目を背け、希望的観測にすがりついていた。 結局そんな物は来ず、未来の子ども達は大きな代償を背負うことになっていった。それが現代ですね。

かつて先進国と発展途上国とを分けていた「格差」も、完全に解消された。 いまや新興国にハンデはまったくない。逆に言えば、先進国にも優位性はないことにある。 インターネットが発達し、情報化社会となった現代では、先進国も発展途上国も関係なく、 ただただ「実力がある」ものが生き残り、成長していく弱肉強食の世の中となっていく。

数年前、IT業界では開発業務の海外アウトソーシングが進み、中国での開発が増えました。 もはや日本国内だけの競争ではなく、それこそ世界の人達との戦いに買って行かなくてはいけないのです。 余談ですが、今では中国での開発すら(経済が発達し、賃金が上がったため)高くなり、次はベトナムなどへ流れていっています。 中国は既に「安く発注される」ステージを終えてしまったということを意味しています。末恐ろしいですね。

さらに余談ですが、ここの箇所とかなりリンクする内容を、 ホリエモンこと堀江貴文さんが近畿大学の卒業式でスピーチされています。 世の中の最先端を行く者同士、やはり感じるところは同じということでしょうか。 ※ただ、柳井正さんは本書の中でホリエモンのことを一刀両断しています。これも中々面白いですよね。

「資本主義の精神」を忘れていくなかで、この国はいつの間にか、 お金は稼ぐものではなく、貰うもの、という意識が蔓延してしまった。

この一節には私は物凄い衝撃を受けました。 今までサラリーマンとして安穏と暮らしてきた生活そのものが間違えていた、ということ。 かなりきわどい内容ですが、日教組の教育などの影響で日本人が牙を引っこ抜かれていったこと。 結果、活力が失われ、努力をすることが馬鹿らしい社会(そしてシステム)になっていったこと。 さまざまな経緯を経て、そのような状況になってしまい、自分も順応しつつある状況に呆然としてしまいました。

※本書では、サラリーマン期間を起業のための準備期間とするなら良い、と述べています。
※起業を志す身としては、この認識を強くしておかなければ……と私事ながら強く思い、誓いました。

おわりに

日本をより良くしていく。その目的のために書かれた本書。柳井正さんの考えは良く伝わりました。 ただ、そこからどう具体的なアクションに落とし込む、という部分の具体性は余りなかったかな、と感じました。 よって、採点としては76点です。ToDoとして、というよりは、気持ちを昂ぶらせるために読む書籍かなと思います。

さて、本書の中で大阪の橋本徹市長のことを絶賛していました。 ですが、つい先日の大阪都構想の選挙で敗北し、政界を引退すると発表しました。 このことは残念でなりませんね。良くも悪くも有言実行してきた方だったので、 これで日本の政治の正常化はまた10年、20年と遅れることになりそうだ、と、ゲンナリとした気持ちになりました。

現実を視よ

現実を視よ

はてな村、入居しました。

はじめまして

はてなブロガーの皆さま、初めまして。@tsuyoring と申します。 そうでない皆さま、いつもご閲覧いただきありがとうございます。

今までWordPressブログ村で細々と記事を書いて参りましたが、 1人でこつこつ続けることに限界を感じ、はてな村に引っ越して参りました。

本Blogのクラスタについて

このブログでは主に、書評、映画評を書いていこうと思っています。 書籍では自己啓発やスキル取得のためのビジネス書を、 映画ではアクションや知能系バトルといったジャンルの洋画を主に観ます。 ともに素人なので、その道ではない人が観て楽しめるの?といった観点で読んで頂ければと思います。

@tsuyoring って誰よ?どんな人?

そうですね、自己紹介がまだでした。
普段は通信キャリアでエンジニアをしております。 趣味はプログラミングや楽器演奏をしているような、どこにでもいるSEさんです。 本Blog以外にも、エンジニア向けのはてなDiaryを書いていますので、その筋の方、是非ご覧ください。 ちなみに、この名前で検索すれば色々出てくると思います。twitterとか。大抵筆者です。

れあこんって何?

Rare Cheesecake Complexの略称です。 筆者にとってレアチーズケーキは、良くも悪くも思い入れの深いスイーツです。 そこに乗っている様々な思いをコンプレックスという言葉に乗せ、この名前にしました。

おわりに

皆さまとのんびりとお話出来たらと思いますので、お気軽に絡んでください!