れあこん

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『好きなことから逃げたら後悔する』はどこに行った? - 台風のノルダ レビュー

はじめに

会社からの帰り道。
ふと映画館に立ち寄りポスターを見ると綺麗目な絵柄の作品が飾られていまして。
気になってネットで調べてみたところ、
 ・ジブリ出身の方が監督をされていること
 ・「好きなことから逃げたら後悔する」というフレーズ
にヤられまして、即決で観に行くことにしました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

とある離島の中学校を舞台に、少年同士の友情を描いた青春劇。
文化祭前日、島に観測史上最大の台風が接近するなか、
幼い頃から続けていた野球を辞めたことがきっかけで親友の西条と
ケンカした東は、突然現れた赤い目をした少女ノルダと出会う。

感想/印象に残ったフレーズ

率直に申し上げますと、駄作でした。
本上映ですが、45分間の短い上映にも関わらず前半1/3強が別作品でした。

前半の作品は『陽なたのアオシグレ』。思春期に入る以前の、
子どものほのぼのとした恋心を描きたかったのかなぁと思います。
ですが、ニマニマしている表現や妄想が思いの外気持ち悪くて。
成功前提でのあの主人公の暴走っぷりや、最終的に何も言わない温さは
観ていて気分の良いものではありませんでした。

ただ、後半以降のぶっ飛びっぷりはとても面白かったですね。
主人公の描いた絵の鳥に乗ってヒロインを追いかけるシーンの表現は素晴らしくて。
監督さん、元アニメーターの面目躍如といったところでしょうか。
それにしても、本当はギャグ漫画だったのかな?思わず笑ってしまいました。

さて、タイトルにもなっている、本命の『台風のノルダ』。
こちらも率直に申しまして、楽しかったとは言いづらい作品でした。

監督さんが自分の描きたい部分・伝えたい部分しか描いていない印象を受けました。
言ってみれば、起承転結の起と結しかありません。
30分弱という時間は物語を掘り下げるには短すぎたと思います。

男の子2人の友情だってもっと丁寧に描かないと理解できないし、
ヒロインの女の子についても、初見のシーンの後唐突に仲良くなっていってるし。
ノルダは結局何がしたかったの?何で戻るの?釈然としませんでした。
短いなら短いなりに納得のいく展開をして欲しかったですね。
「好きなことから逃げたら後悔する」の台詞も放り投げっぱなしでしたし。
そんなこんなで、ストーリー的には不明な点や矛盾点が盛りだくさんでした。
※厨二な物語は私的に大好物なのですが、それを差し引いても厳しかったです。

極めつけは、男の子2人がお互いがお互いを認め合うシーン。
声優が棒なんです。とっても棒読みなんです。
一番盛り上がるシーンなのに……本当ガッカリしました。

おわりに

絵はとても綺麗だし、アニメーションもぐりぐりステキなんです。
ですが、肝心のストーリーがお粗末なことこの上なく……採点としては36点で。
新井陽次郎監督、今後どうするのでしょうか。
個人的には、美術面に特化して、新海誠監督のように、
その強みを尽きてつめていってくれたら面白い、、、のかな。