はじめに
新海誠監督の最新作!そしてまさかのシン・ゴジラ越え! 同監督の作品は今までどちらかというとコアなファンに支えられてきた印象があり、 その絵のタッチや内容の所謂ヲタ臭さから、大衆に受けるような作品とは言い難いと感じていました。 それがここに来てまさかの大ヒット。大変興味を惹かれ、劇場に足を運びました。
概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。
1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。
感想/印象に残ったフレーズ
男女の入れ替わりという使い古されたシチュエーションを題材とした本作。 最初はコミカルに、入れ替わりをおっかなビックリ楽しむ様が描かれております。甘酸っぱい青春ものだと思いきや、入れ替わりが起こらなくなったことがきっかけで物語は急展開。彗星の衝突というトンでも展開に加えて、実は時間差での入れ替わりだったと言うことも発覚。途中でヒロインの三葉が死んでしまうという窮地も乗り越え、無事にハッピーエンドを迎え……こう書くと、内容てんこ盛りですね。
序盤の瀧がひたすら自分のおっぱいを触るのも笑ってしまいましたが、中盤以降発覚した時間差での入れ替わりというのをとても新鮮に感じました。正直予想していなかったので。加えて、立花瀧が彗星衝突時の死亡者リストの中から三葉の名前を見つけて閉まったシーンでは涙をせずには居られませんでした。
さて本作。とても大事な箏を思い出させてくれる作品だと感じました。 夢の中で起こったことが現実で起きたりすると、それが実は深い意味があるんじゃないか?とか幼い頃には考えたりしたと思います。凄く楽しかった夢の内容も段々忘れてしまい、次第に思い出せなくなってしまうという経験もしたことがあります。 でも、大人になった今ではそういった記憶もほぼ無くなってしまっていますし、見た夢の内容も別段気にしないようになってしまいました。それが現実を生きていると言うことなのかもしれませんが、それは本当に『いま』を生きていると言えるのでしょうか? 宮水一葉(おばあちゃん)が話した名言『よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがムスビ』という台詞を聞くにつけ、自分の人生が本当にまた繋がるのか?と感じます。何とも言えない焦燥感と言いますか、胸の奥底を甘く掻き毟られるような気持ちにさせられました。
最後にBGMに関して。
映画自体、RADWIMPSのボーカル曲から始まります。それはそれで作品に引き込む意味合いもあってとても良かったです。RADWIMPSというグループを詳しく知らない私ですが、ちょっと買ってみようかなと考えるくらい、合っていました。ただ、ですが。その後も要所要所で彼らの曲が入ります。全体で3〜4回くらい、サビを歌いきるシーンが入ったかな?
会話を入れずに動画だけで時間を経たせる・雰囲気を伝えるという手法は良いと思うのですが、正直毎回彼らの歌声というのはやり過ぎ感がありました。食傷気味になってしまう人も多いと思います。
おわりに
本作の採点ですが、85点です。
余談ですが、本作の大ヒットに関して思うところがあります。『はじめに』の項でも書いたこととも関係するのですが、新海誠監督のこういったアニメ作品が世間一般に受け入れられるようになったことが、そのまま時代の変化を表しているのかなと。 今の中学生・高校生の間ではニコ動が人気で、初音ミクの楽曲が給食の時間に流れているそうです。これは10年20年前には考えられなかったことで、そういった物を好きと言った瞬間にヲタクのレッテルが貼られてしまうものでした。それが今では流行の文化の1つとなっている。そういった若者文化の流れ・世間の流れを受けてのこの大ヒットなのでしょうか。
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- 作者: 新海誠
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2016/09/20 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎