はじめに
会社で推薦されていた本ということで手に取ってみました。 全編漫画で構成されている珍しいビジネス書ですが、その原書はお墨付き。 17年間日本語への翻訳が禁じられていたということで、期待に胸が高鳴ります。
概要
本書は工場を舞台として、3ヶ月間で生産の状況を改善していくストーリー。 改善が見られなければ工場が閉鎖されるという切羽詰まった状況で、 主人公が大学時代の恩師にアドバイスを貰いながら、自分の頭で考え、行動していきます。
感想/印象に残ったフレーズ
本書の内容がそのまま色々な業界に応用できるようなものではありません。 が、その根幹を成している考え方を身につければ、 『The Goal(目標、会社ではお金を儲けること)』に辿り着くことは出来るでしょう。
お金を儲けるために本当にしなくてはいけないことは何なのか?を考えたとき、 それは生産性を上げることであり、それを量るために必要となる新しい指標は 『スループット』『在庫』『業務費用』だと説いています。 そして、元来重要視されてきた機械の稼働率や効率性などは二の次であると。 本指標を元に、色々な施策を検討して、打っていく。 それによって全体最適のマネジメントをおこなうことができるのです。
さて、私が一番印象に残ったのは解説に書かれていた以下のフレーズです。
学ぶことの最大の障害は答えを教えることではないか? それは、自分で答えを見つける機会を永久に奪ってしまうからである。 自分で論理的に考えて、答えを見つけ出すのが、 人が学ぶための唯一の方法だと私は信じている。 人が考えるようになるためには、命令形の『!』マークよりも、 疑問形の『?』マークの方がはるかにいい
実は一番大事なことは、このことなんじゃないかなと。
本書ではその為の方策を主人公の生活や子ども達との関わりをベースに描いて居ます。 その中で主人公が「自分で考えて、気付く」ことで改善を行います。 ですが、その伏線というか、考えていることの大事さが漫画上だと 余り描けていないように思えたのが少し残念でした(最後に取って付けたようにその話になっていますが。)
余談ですが、バッチサイズを小さくすると効率が上がるという話は、
ことリーン・スタートアップ系の書籍ではよく目にします。
それが工場の話でも適用出来るということを面白く感じました。
※そもそもリーン・スタートアップがトヨタかんばん方式を
※モデルにしているので、当然かもしれませんが……逆輸入な感じですね。
おわりに
内容としては、トヨタかんばん方式/リーン・スタートアップの考え方を
スタートアップではなく、現実のサラリーマンの業務に即した内容に書き換えたものですね。
※時系列的にどちらが先か、までは存じておりませんが。
そのため、既にリーン・スタートアップを読んでいた私にとって余り得る物はありませんでした。
とは言うものの、漫画で分かりやすく書かれているので、
そういった書籍を読んだことがない人にとっては入門的な意味では良いかもしれません。
個人的採点ですが、上述した背景もあり、52点です。
なお、『従業員が手を休めることなく常に作業している工場は非効率』 という一節が本文中に出てきます。読んだ時には衝撃を受けましたが、半分不正解ですね。 『従業員が自分の担当業務のみを休むことなく常にこなしている工場は非効率』 が正しいですね。本文を読めば分かる通り、ボトルネックの対応や改善に手を割く訳ですから。
- 作者: エリヤフ・ゴールドラット/ジェフ・コックス,岸良裕司,蒼田山,青木健生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/12/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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