れあこん

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週に4回も2回も変わらない - 上達の法則―効率のよい努力を科学する 書評

はじめに

1昨年の5月に購入して以来、2年以上経て、漸く読み終わりました。
物事をいかに学び、精通し、上級者となっていくのか?
自己啓発から入り、何かを為していこうとしたときの”進め方”の指針となるような本でした。

印象的なフレーズ

本書は上達をしていくための方法論や、そもそも上達とは何か?など、
物事を極めていく上での道しるべとなるような内容を論じています。
特に印象に残ったのは、
 ・上級者になると「見え方が変わる」
 ・上達した自信から来るおだやかな楽観性が潤いとなって、人柄から香る
 ・入門書の選択基準は、書いた人の情熱が感じられるかどうか
 ・とにかく上達しようとしている対象に慣れ親しむ⇒訴えかけてくるものがあるか、
  その刺激に心から感動するかどうか、自分自身を観察する
 ・週に二度にすれば、週一度の場合と比べると、上達の速度は雲泥の差である
 ・週に三度は二度に比べればそれほど大きなメリットがない
 ※忘却は学習から24時間後、72時間後、6〜7日後に起きる
 ・とりあえず自分の好きな物を作るのが初期の上達のコツである
 ・上級者は自我関与が高い
 ・自分の演奏が聴いている聴衆の心にどのように響くか想像しながら
  練習することが、演奏そのものの「厚み」になる
 ・調子の良いときは棋風なんか出ない
 ・上級者は自分独自のトレーニングを開発することができる
 ・得意なことにこだわると、ソレを中心として全体が見えるようになる
 ・効率よく上達しようという場合、理論書を読む
 ・一つのオーケストラ曲をおびただしいエネルギーを注入してその一曲だけを仕上げる
 ・ある時期、いいものだけを観る、という時間を作る

などなど。一部本当にそうなの?というものもありますが、
実際に科学的に証明されていると言われている物も多く、説得力があります。

読み終えて

最後のあとがきの筆者の思いを読むに、これからの日本のために書いたのだな、
と感じ入るところが多く有りました。学ぶところのとても多い良書です。

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)