れあこん

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穏やかな夜に身を任せるな 老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に - インターステラー レビュー

3連休は映画三昧、ということでインターステラー観てきました。
昨年末にゼロ・グラビティを観ていたので宇宙物はもう良いかな……
って思っていましたが、SF史上最高傑作との口コミに興味を持って足を運ぶことに。

以下、ネタバレを含むレビューです。

序盤は地球が砂害に悩まされている描写が続きます。
宇宙系SFを観に来た筈なんだけど、なんだこれは……って思うくらい長い描写でした。
けれど、ここで徹底的に現在を描くことで、後の宇宙の描写がより生きてくる仕掛けだったので我慢のしどころです。

地上でNASAの施設を見つけてからはとんとん拍子に話が進み、
あっという間に主人公のクーパーは宇宙に飛び立ちます。
ここからは逆に本当に必要な部分以外は省かれており、観ていてスピード感が心地良かったですね。
宇宙に飛び立ってからはずっと盛り上がっている印象でした。

1つめの星では、アクションシーンがとても見応えがありました。
寒い星、熱い星など宇宙系の作品だと様々な惑星の描写があるかと思いますが、
超巨大な高潮が襲ってくるというのは斬新で面白かったですね。

2つ目の星で描かれるのは人間模様です。
天才博士を助ける為にこの星に降りたはずが、博士が実は嘘つきで途中から裏切り、
主人公達を殺して自分が生き延びようと画策します。
描写がとても生々しく人間らしく、見ていて心にキましたね。正直この博士、私は大嫌いです。
勿論、そう見せるような演技・シナリオが素晴らしいのですが。

そして、すったもんだの末、クーパーがブラックホールに降下してから本作の種明かしが始まります。
クーパーが落ちた先は五次元世界。
そこは彼の住んでいた部屋とのみ、交信が出来る世界で、更に時間を超越することができます。
娘のマーフィーが幼い頃からずっと部屋に幽霊がいると思っていたのは、実は全てクーパーで。
"STAY"とクーパーに伝えようとしていたのは、他でもないクーパー自身でした。
(初期の地上でのストーリーを細かく描いていたのは、全てここに繋がるからだったんですね。)

このオチは私にとっては想定外で、まさに「そうきたか!」と、してやられた気分でした。
それだけでなく、ワームホールを渡っている最中のアメリアとやりとりしていたのも実はクーパーでした。
広げきった伏線を、片っ端から綺麗に畳み込んでおり、凄いのひと言に尽きますね。
全てを解決した後の展開の爽快感と言ったら!

宇宙物というとアルマゲドンを初めとして父と息子の
愛情物語ってのが1つの雛形になっているかと思いますが、
本作では父と娘でそれを表現しきっているのも良かったなと思います。

最後に、物語の途中に出てくる下記の台詞。
「穏やかな夜に身を任せるな
老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に
怒れ、怒れ、消え行く光に」
若干エグい内容ではありますが、死ぬまで頑張れよってこと。
橋渡しの世代なんかにならずに、世界を切り開けってこと。心に響きますね。

この作品を見るにつけ、今を本気で信念を持って生きることの大事さを認識させられます。
個人的採点ですが、83点です。
アクションの質、映像表現、ストーリーの爽快さ、どれをとっても満足でした!おすすめです。