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れあこん - Rare Cheesecake Complex

書評、映画評、音楽評など、各種レビュー記事を掲載しています。

普通なのはつまらない - イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密 レビュー

はじめに

実在の数学者の一生を扱った本作。
ジャケ買いならぬポスター観、で即断して観たため、前情報なしで挑みました。
ポスターから所謂頭脳アクションバトルな雰囲気をぷんぷん感じたため、即決して観ることに。
こちらの期待している以上の内容で、とても満足度高く楽しませていただきました。

概要

第二次世界大戦当時、ナチスドイツの開発した暗号装置「エニグマ」。
天才数学者であるアラン・チューリングエニグマの解読に挑むという本作。
主人公はベネディクト・カンバーバッチ、ヒロインはキーラ・ナイトレイです。

印象的なシーン/感想

全体を通してBGMがとても良かったですね。
特に序盤、主人公がブレッチリーに来るときに掛かっている曲はとても秀逸でした。

さて、ストーリーです。
本作は概要にも書きましたが、本作はナチスドイツの暗号を解く戦いでした。
本作の一番最初に史実だと字幕でのアナウンスがありましたが、物語が進めば進むほど
こんなんことがあったのか?と怪しく思ってしまう。それくらい衝撃的な内容でした 。

特に、第二次世界大戦中にこんなコンピュータ+統計学、分析という
現代のITの花形のようなことが駆使されていたということ。これは驚き以外の何ものでもありません。
私自身、ITの分野、ある程度先端の職場に所属していることもあり、
これほどのことを70年以上も前におこなっていたのか、というショックはすごいものがありました。

また、本作の焦点は「変な人、世間に受け入れられない人」の処遇にあります。
主人公は天才的な数学者であり、人とのコミュニケーションを上手く取ることができない。
そんな彼が、ヒロインとの会話の中で
「暗号にはそれを解くためのキーが必要だ。人との会話と何が違うんだろう」
といった内容のことを話しているのがとても印象的でした。
彼にしてみれば、お互いの共通認識(=キー)を持てないので、
上っ面だけの会話と暗号を解くこと、どちらも同じようなものだったのでしょう。
だからこそ、ヒロインが主人公に言った台詞
「普通なのはつまらない」
「変な人である貴方が、人々を平和にした」
の台詞はとても好き。そういう世界、素敵ですよね。

物語の終盤は、主人公が同性愛者だということを中心として話が進みました。
そして、そこからイギリスの国が弾圧した話へと移っていき……
この部分の流れは、日本人からしたら余り興味のない部分かなとも感じました。
序盤からナチスドイツ絡みの描写も多いですが、この辺りは英国映画という感じがして。
世間一般(特に英国内)の評価としてはこの部分が言及されそうですが、個人的には蛇足感を禁じ得ませんでした。

人物で言うと、主人公、ヒロインともにとても役柄にあった演技をしていたと思います。
カンバーバッチは本作で初めて見たのですが、奇人系天才はハマり役なんじゃないですかね?それくらい見事でした。
対するキーラ・ナイトレイも才女を見事に演じきっていて。頭の回転の早そうな雰囲気をぷんぷん漂わせていました。

総評

チューリングという偉大な数学者を取り上げ、人々に知らしめ、それを描き切った点は文句なく素晴らしいです。
そしてその変人振りに対して最高の脚本・演出を以て賞賛していると感じました。
個人的にも、こんな変な人を素敵に、有り体に言うと感動的に描いてくれて、観了後の満足感は随一でした。
というわけで、採点は94点。2015年観た映画の中でもっとも好みです。