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れあこん - Rare Cheesecake Complex

書評、映画評、音楽評など、各種レビュー記事を掲載しています。

捨てなければ得られない - 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (実写版)レビュー

映画 アクション 厨二 邦画 SF

はじめに

原作ファンとして興味を抱いていた本作。 実写としてするには中々に難易度が高い内容だと思っていたのですが、 「立体駆動の演出が格好良い」 という、どこからか聞いた風の噂に絆されて観に行ってまいりました。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。 かろうじて生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていたが……。

感想/印象に残ったフレーズ

本作、原作ファンが前情報無しに観に行くと間違いなく面食らうのではないでしょうか。 根っこの部分は原作を守っていますが、オリジナルな設定を ふんだんに盛り込んだパラレルワールドと思った方良いです。 「シキシマって誰……???」 「ミカサがエレンに対して一途じゃない。こんなのミカサじゃない」 「エレンの目の前で巨人の餌食になったのが母親じゃなくてミカサ」 という時点で原作のストーリーを踏まえる気がさらさら無いのが分かっていただけるかと思います。

後編もあるので、現時点でストーリーの是非について言及するのもナンセンスかもしれませんが、 前半だけ見て感じた思いを書いておきます。 まず、原作と違うエレンの喧嘩っ早さ・支離滅裂さについて行くのがやっとでした。 行動が突飛で理論だっておらず、感情移入は一切できませんでしたね。 シキシマという謎な登場人物については、未だに何ものなのか?というワクワクで一杯です。 彼についてはこれから、という感じなのでしょうね。とても楽しみ。 ミカサについてはもう本当良く分かりません。 ただの恋愛物なシナリオを描きたくてポジションを変えたんですかね。現時点ではガッカリです。

次に、表現について。 日本人キャストがメインで外人もおらず、街の中はまるで江戸~明治時代の様でした。 巨人が襲ってきたときなんか、江戸時代に火事でも起きたのかと思うような見た目で。 最初は違和感しか感じられず笑ってしまっていたのですが、 逆に日本の生活に落とし込んで表現することで、より実感を持って巨人が襲ってきた という危機を感じることができたのはとても良かったかなと思います。

また、原作では絵柄の関係か、色恋沙汰的な話は殆ど無いのですが、実写版だとそんな訳もなく。 極限状態での男女が居れば、そこにセックスが発生するのは自然な流れでしょう。

まず、シキシマとミカサの関係に嫉妬し絶望するエレン。 寝取られ(NTR)的な展開で叫ぶエレンには、思わず「若いねー♪」と言ってあげたくなります。笑 そして、そんなエレンを誘惑する人妻さん。 「子持ちは嫌……?」って言いながら、エレンの腕をつかんでおっぱいを 揉ませるシーンなんかは、妙に艶めかしくて良かったですね。 それ以外にも、最前線でヤっている男女の描写もあり。"人間"を良く表していると思いました。 ただ其の分、R指定でないのは良くないですね。原作ファンの子供には見せられないなと。

演出に関しては……賛否両論になりそうな気配です。 一番最初に出てきた「超大型巨人」の質感は正直微妙でした。 なんというか、ウルトラマン仮面ライダーと言った子供向け特撮を見させられている感じで。 ダサいなぁ……という思いを消し去ることは出来ませんでした。 それと対照的に、通常の巨人達については全然観ることが出来ました。 変に原作に合わせるようにすることなく、人が感じる気持ち悪いの限度で表現されていて。 こちらは素直に良いな、怖いな、と思うことが出来ましたね。

立体駆動に関して言えば、間違いなく格好良かったです。 以前から「実写で表現するのは不可能」と言われていた本仕組みですが、 本作では見事に表現しきっており、素直に格好良いなぁ!と思うことが出来ました。 ただ欲を言えば、もう少しスピード感が表現出来れば良かったなと。 私がアイアンマンなどのアクション映画に慣れ親しみすぎているからかもしれませんが、 全体的にのんびりとした感じを受けました。 1.5倍くらいのスピードで表現してくれれば、言うことなく満足だったのに……すこし残念です。

さて、演技に目を移しましょう。

もっとも印象に残ったのはハンジですね。 原作の中で随一のお気に入りキャラクターということもありますが、 誰がどんな演技をされるのか、とても不安でした。 ですが、その不安は登場シーンの奇っ怪な声とともに吹き飛ぶことになりました。 頭のネジが十本ほどぶっ飛んでるのではないかと思わせるような声のトーン。 巨人に対しての異様なまでの興味。巨人を見たときの興奮っぷり。 それらを余すことなく表現しきっていました。 むしろ、こちらが原作ではないか?と錯覚するような演技、女優さんの中での昇華っぷり。 後で石原さとみさんが演じていると知ったのですが、本当にハマり役でしたね。 素晴らしいのひと言です。

最後にBGMについて。 こちらはとても気に入りました。 特に序盤ですが、民族音楽的な牧歌的な雰囲気の曲が流れていて。 塀の中の雰囲気を見事に表現しているな……と、感心しきりでした。

おわりに

ストーリーについては正直後編次第な部分が大きいです……が。 良くも悪くも原作を換骨奪胎している点はとても評価できると思います。 その結果駄作だったとしても、良いチャレンジなのではないかなと。 現時点ではストーリーに粗も多く目に付きますが、 それを補う演出・演技・音楽がありました。ということで、採点としては68点で。