れあこん

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登らないのは罪だよ - エベレスト 3D レビュー

はじめに

11月はこれまで映画館に3回も足を運んでいたのですが、その度に上映前の宣伝で流れていた本作。エベレストを部隊にした壮大な映像に興味を引かれ、観る事に。実際にあった事件を題材としたノンフィクションとのことで、そういった意味でも楽しみな作品でした。

概要 ※映画.comさんより抜粋させていただきました。

エベレスト登頂を目指して世界各地から集まったベテラン登山家たち。それぞれの想いを抱えながら登頂アタックの日を迎えるが、道具の不備やメンバーの体調不良などトラブルが重なり、下山が大幅に遅れてしまう。さらに天候も急激に悪化し、人間が生存していられない死の領域「デス・ゾーン」で離ればなれになってしまう。ブリザードと酸欠の恐怖が迫る極限状態の中、登山家たちは生き残りを賭けて闘うが……。

感想/印象に残ったフレーズ

心なしか終始重い雰囲気に包まれている本作。史実を忠実に再現していることもあり、全体的に起伏も少なく、演出も正直微妙でした。

1.ありがとうございます、ありがとうございます
2.残酷なる結末

ありがとうございます、ありがとうございます

日本人唯一の登場人物であり登山者であるヤスコ。彼女がエベレスト登頂した際に 「ありがとうございます、ありがとうございます」と拝んでいたシーンが、日本人としてとても心に残りました。 外国の映画だけれども、ちゃんと日本人を使い、日本の文化を踏まえて、然るべき演出をしている。 当たり前のことなんですけれど、何か嬉しく思いました。

残酷なる結末

ガイドであるロブの判断ミスによって訪れた最悪の結末です……本作の肝であり、描きたかったことそのものなのでしょう。1人の客が体調悪化したにも関わらず登頂したいと言い張りました。
「この機会を逃したら“世界最高峰”に登ることは2度とないだろう」と。
結果的にロブは彼を山頂まで連れて行き、けれども、その後彼らを麓まで送り届けることはできず。その上、自分自身も犠牲になってしまいました。

日本では良く言われていることですが、山は怖い、と。それにも関わらず、客のわがままを聞いてしまったロブ。客の言い分も分かります、特にあと一歩で山頂まで行ける状態なら尚更そうかも知れません……けれど、そこはプロフェッショナルを遠さなければいけない場面だったのでしょう。悲劇的な結末でした。

……とは言うものの、正直自分は彼らに感情移入をすることは出来ませんでした。山という危険な場所に来たにも関わらず、他人への迷惑を顧みずに自分の欲望を優先する客、厳しい判断を出来ずに犠牲となったロブ。悲劇ではあるのですが、なるべくしてなった必然といった印象を受けました。

以下、余談です。後から知ったのですが、ロブの奥さんを演じているのは『イミテーション・ゲーム』で好演したキーラ・ナイトレイだったのですね。 www.rarecomp.com
お気に入りの女優の1人だったはずですが、鑑賞中は全然気付きませんでした……

おわりに

本作の採点ですが、62点です。
映像が凄いという前評判で観に行ったつもりでしたが、正直映像で惹かれるようなシーンは見当たらず。鑑賞後に調べてみたら「ヒマラヤで実際に撮影した」 ということに価値がある作品だったようです。そんな前情報を知らないと凄いと思えないような作品じゃどうしようもない、ですよね。 ストーリー自体も好みでは無いバッドエンドであり、その経緯についても(前述の通り)特に同情的な気持ちになれる訳でも無く。淡々と過ぎ去った2時間1分でした。正直あまりオススメできません。

2015/11/18 鑑賞@TOHO CINEMAS 川崎